免震構造の用語 08.02.01
・アイソレータ(0516)
(isolator)
建物と地盤を振動的に絶縁するため、水平方向の剛性を極めて小さくし、鉛直方向の荷重を支持できる部材。これを用いることにより建物の固有周期を長くすることができる。アイソレータには、積層ゴム系、すべり・転がり系がある。複数の特性の異なるアイソレータを組み合わせて使用する場合もある。一般に積層ゴムアイソレータ、すべり支承、転がり支承と呼ぶことが多い。
・維持管理(いじかんり)(0517)
(maintenance and management)
広義には建物等の資産価値を保ち経営的に運用することをいい、狭義には修繕を含めた建物の清掃・保守点検・手入れ等のことをいう。免震構造の場合、免震建築が将来にわたり確実に免震機能を発揮し、建物の安全性を保持するために実施する点検等をいい、
(1)当初の設計思想、設計条件が守られていること、
(2)災害発生後も正常に機能を発揮できることなどを確認する。点検は目的に応じて、
1)竣工時検査、
2)定期点傾、
3)応急点検、
4)詳細点検等
に分類され、必要な時期に実施する。
・一次形状係数(いちじけいじょうけいすう)(0518)
(first shape factor)
積層ゴムのゴム1層について受庄面積と自由面積の比で定義される。 積層ゴムが円形断面の場合、一次形状係数Siはゴムの直径かとゴム1層の厚さtを用いて次式で表されるため、ゴム1層の偏平度を示す尺度となる。
Si= (受圧面積)/(自由面積)=(πD^2/4)/(πDt)=D/4t
一次形状係数は積層ゴムの圧縮剛性や曲げ剛性に大きく影響を及ぼし、一次形状係数が大きくなるに従い、これらの値も増大する。なお、我が国では二次形状係数と区別するため、「一次」を付けて呼ばれているが、海外では単に形状率(shape factor)と呼ばれている。
・犬走り(いぬばしり)(0519)
(berm)
(1)建物の周囲および軒下部分にコンクリートや砂利等で作る細長の土間 (2)堤防工事や盛り土の際、法尻と側溝の間に設ける狭幅な平坦部分をいう。免振構造の場合、地震時に上部構造と下部構造との間に大きな相対水平変位を生じるため、免震クリアランスを免震層や建物外周部に確保する必要がある。したがって、建物外周部と免震層にすき間が生じる場合があり、この場合、建物外周部からすき間を塞ぐための片持梁形式のスラブ(犬走り)を設けるのが一般的である。
・エキスパンションジョイント(0520)
(expansion joint)
互いに動く構造物(例えば免振建築玄関と地盤面からの人口部分)の間に設置する建材で、地震時に生じる相対変位に追従させて有害な応力を構造物に発生させることなく、構造物間の機能の連続性を維持させるための部材。地震動による相対変位のほかに、構造物の温度変化による膨張収縮、不同沈下、風力等の外力による変位に対応する役割も有する
・オイルダンパー(0521)
(oil damper)
一般には振動によって動くピストンにより、シリンダ内部のオイルを流動させ、そのの制動力を非復元力として振動を制御するダンパーである。所定の制動力は、オリフィスと呼ばれる管路の途中に設けられた丸い孔でオイルの流量を調整することにより得られる。
・鉛直剛性(えんちょくごうせい)(0522)
(vertical stiffness)
積層ゴムを鉛直(圧縮)方向に加力したときの荷重と鉛直変形の比で圧縮剛性または鉛直ばね定数という。一般的には、鉛直履歴曲線の割線剛性で表す。一次形状係数に大きく依存する。
・仮設計画(かせつけいかく)(0523)
(temporary planning)
建築工事中において一時的に行う間接的な工事を仮設工事といい、工事終了後にはすべて撤去され、構造物の構成体あるいは付属物として残存しないものである。この仮説工事を行うため、あらかじめそれらの計画を行うことを仮設計画という。免震構造の場合、施工中における免震層の水平変位を拘束するか否かにより、その後の仮設計画が大きく異なる。免震層の水平変位を拘束する場合には、通常の在来建物と同様であるが、免震層の水平変位を拘束しない場合は、施工中に免震層での比較的大きな相対水平変位が発生する可能性があり、外部足場や揚重機の支持方法等に留意する必要がある。
・加速度(かそくど)(0524)
(acceleration)
物体がある方向に運動するとき、その速度に対する時間的変化の割合を加速度という。物体に加速度を生じさせるには、その変化の方向に対して力を作用させることが必要である(ニュートンの第二法則)。単位はcm/s2であるが、cm/s2をgalということもある(重力加速度は980cm/s2)。地震動のレベルを表す指標の一つとして、地震動波形の最大加速度が用いられることがある。また、免震構造においてもっとも期待される効果は、在来構造の建物と比較して建物内の加速度が大きく低減されることである。
・可撓継手(かどうつぎて)(0525)
(flnexible joint)
設備配管等が相対変位を受けたときに、その相対変位を吸収できるように設けるフレキシブルな継手をいう。免震構造の場合、地震時に免震層で大きな相対水平変位が生じるため、免震層を縦断する設備配管は、用途別に適した材質の可撓継手を設ける必要がある。なお、各配管の変位追従性能は、動的解析結果等を参照し、その重要度に応じて設計者が適切に定める必要がある。免震構造専用の既製品がある。
・下部構造(かぶこうぞう)(0526)
(substructure)
免震建築のうち、免震部材より下部の構造と基礎構造を下部構造と呼ぶ。下部構造の設計用線弾力は、当該部分の地震力に免震部材より上の上部構造の設計層せん断力を加えた値とする。さらに、建物重量を支える積層ゴムアイソレータ周りには変形に伴う付加曲げモーメントが生じるので、このモーメントに対しても下部構造を適切に設計する必要がある。
・許容荷重(きょようかじゅう)(0527)
(allonable load)
積層ゴムに載荷される荷重の許容値をいう。一般こは長期荷重と短期荷重の二つがあり、長期荷重はクリープや耐久性で決まり、短期荷重は積層ゴムの変形時性能(荷重と座屈の関係等)によって決まる。
・クリープ(0528)
(creep)
一般的には、ゴムに生じる永久的な塑性変形を指す。積層ゴムの場合、圧縮方向に生じるひずみを指す。積層ゴムには、建物の荷重という大きな圧縮荷重を長期間支えるために、積層ゴムのクリープ特件を予測(検討)しておくことが重要である。1〜2年の規則のクリープ量から長期のクリープ量を予測するために、クリープ量推定式が使われている。計測時間とクリープ量の関係を両対数または片対数でグラフ化し、直線で近似し、その直線を長期間まで外挿することにより長期後のクリープ量を予測している。それによると、60年程度経過後のクリープ量は、おおむね数%程度と予測されている。
・許容変形(0529)
(allowable deformation)
積層ゴムに発生する変形または変位の許容値であり、要求される性能の目標値として与えられる。
・許容応力度設計(きょようおうりょくどせっけい)(0530)
(working stress design)
建物の構造設計に一般に用いられている方法で、各部材に生じる応力が材料ごとにある安全率を持つように、定められた許容応力度以下であることを確かめることにより、建物の安全性を確認する方法。一般的には許容応力度を超えるような入力があっても、剛性や耐力の組み合わせによっては、許容応力以降の性状が確認できないことがある。
・金属支承(きんぞくししょう)(0531)
(metalbearing)
金属支承は、使用材料に金属を用いるもので、材質や機構の種類によって細分化されている。また、構造物の挙動(移動・回転)を主にすべり機構や転がり機構によって吸収させている。主なものに、線支承、支承板支承、ビン支承、ピボット支承、ローラー支承、ロッキングピボット支承およびロッカー支承等がある。
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